SCHOOL LIFE
学校生活
校長室便り 2020年6月27日
先日、スーパーコンピューター「富岳」の話をしましたが、計算速度が速いということは世の中で大変重要視される項目です。
計算速度だけではありません。乗り物も、ネット回線も、オリンピック競技、リレー、社会生活においても、対応の速さ、意思決定の速さが求められます。人間は待つことが苦手な生き物なんですね。
遅い方がよい、ということはあるのでしょうか。後出しじゃんけん。勝てますが、これはズルですね。
ふと、赤ちゃんの成長のことを思い出しました。人間の赤ちゃんは、未熟な状態で生まれてきて、毎日毎日少しずつ成長していきます。親は、首が座った、寝返りを打った、とその成長を喜ぶものです。「もうこんなことができるようになった」「やっとこんなことができるようになった」など成長の速度はさまざまです。
ある、7、8か月の赤ちゃんを、お母さんが座布団の上に座らせて、嬉しそうにしていました。保育園の園長先生が「もうお座りができるのですか?」と声を掛けました。お母さんは嬉しそうに、「はい、今座らせてみたらできたんです」と答えました。園長先生はにっこり笑って「自分で座れたのではないのですね。では、元に戻してあげましょう」と言って赤ちゃんをごろんと転がしました。きょとんとしているお母さんに、「筋肉や骨の状態が座れる状態になって初めて自分で座れるようになります。それは赤ちゃん本人にしかわからないことですよ。自分で座らないということはまだ体が整っていないということ。今座らせてしまうと、どこかにひずみが出てもいけないでしょう。待ちましょう。」
赤ちゃんは、ごろごろ楽しそうに転がっていました。